両親は私のADHDの症状に振り回され、私もADHDの症状に振り回されていました。
1.ADHDと親の苦労
ADHDの子供を育てるのは、本当に大変。
手間がものすごくかかります。
一例として、
言うことは聞かないし、叱っても効果なし。どこに行ってもあちこちチョロチョロ歩き回ってはぐれてしまうし、突然いなくなるので目が離せない。とにかくだだをこねて大声を出すから困ってしまう幼児時代。
宿題やプリント提出をことごとく忘れるし、保護者参観日の日や運動会の日さえ覚えてないし、プリントを見せないから様々なイベントの日が分からないし、どう叱れば良いか戸惑ってしまう小学校低学年時代。
きちんと片付けをしないから、乱雑に物が放ってある部屋を見てげんなり。とにかく部屋が汚くて怠け者な中学生時代以降。
そんなもんです。
というか、そんなもんでした、私は。
2.私は『怠け者』かつ『アホ』
どうやら、私は親から見ると
『怠け者』かつ『アホ』
その一言でほぼ全て私を表せるようです。
きついですよね。『怠け者』って言葉。
普通に私、傷つきます。
また、私は関西圏なので『アホ』は軽い意味でも使いますが、面と向かって毎日のように
『ホンマのアホちゃう?』
(一応訳:あなた、本当に馬鹿じゃない?)
とため息交じりに言われると悲しくなってきます。
なぜ私が怠け者でアホかというと、多分
・脱いだもの出した物をかたづけなくて無くて部屋が汚くなりやすい
・やるべきことを後回しにして、やることを忘れる
・おしゃべりでうるさいくらいずっとしゃべっている
・ちょっと気がそれただけで、何をしていたか忘れる
・物事の優先順位がおかしい
・物忘れや、不注意による問題発生が明らかに多い
からだと思います。
親の言葉だけならまだしも、私は周りの人よりミスが多く、周りとなぜかなじめないことも自覚していましたから、次第に私は自己嫌悪に陥り、いつも自己卑下するようになっていきました。
するとまた、親から
『自己卑下するな!!自分に自信をもて!!』
と叱られるのです・・・・・・。
これらが原因で、私が大学に入って親から離れるまで私は親からよく怒られて、私も気が強いものですからいちいち口答えをしたので、毎晩のように喧嘩をしていました。
その喧嘩の勢いといったら相当な物で、近所迷惑だと怒られたこともあるほど・・・・・・。
(本当にあのころ、近隣の方に申し訳無いです・・・・・・)
しかし、今では全く喧嘩をしなくなったのです。
3.両親と喧嘩がなくなったわけ
私は一時期、毎日喧嘩をしていました。
それも家が揺れる勢いで。
壁に穴だって開けてしまいました。
しかし、高校卒業し、大学に入ってから、喧嘩をしなくなりました。
それは私が『ADHD』である、ということを認識するようになったからでした。
4.ADHDだと気づいて
『自分編』
「正常」だといわれる親、兄弟は、私と全然違います。
それにもかかわらず、今まで自分は『普通』だと思い込み、何の心がけもせず『普通』に生活していたのがそもそも問題だったのです。
私は自分がADHDである、と気づいたときに初めて『普通に』生活を送るのをやめました。
私にとっての常識は、世間の常識じゃない。
私が『普通』に生活しても、世間一般の方の『普通』にならないと気づいたからです。
『普通』より努力しないと、世間一般の『普通』になれないのです。
そのときから、私は『普通』になる努力を始めました。
5.ADHDを認めて
『家族編』
私の親の口癖は
「何で普通のことを普通に出来ないの!?!?!?(怒)」
でした。
私にとって、それはこっちの台詞。
「何で私は普通のことを普通に出来ないの!?!?!?(怒)」
私だって、なんで私が普通のことが出来ないのか聞きたいぐらいです。
きっと親は私がADHDだと気づいていても、認めたくなかったし、受け入れられなかったのだと思います。
ということで、多分、私の親は、私がADHDだと自分から認めるまで、私が『当たり前』のことをできないことに怒っていました。
そしてそれは私が怠けているからだと怒られてきました。
しかし、今では問題やミスを怒るのではなく、それらの対策をアドバイスしてくれたり、何が私に向いているかを考えてくれたりするようになりました。
今では、自分の努力と両親の支えのおかげでかなり症状がマシになった気がします。(両親に怒られるストレスが減っただけで、気のせいかもしれないけれど!!)
6.自覚し、認める大切さ
私は以前から自分は何かおかしいと発達障害や気分障害について調べていましたので、ADHDについて、軽く知っていました。
しかし、私が見た資料にはADHDの症状は男性に多く見られる症状ばかりかいてあり、「私は授業中に立ち歩かないし、クラスメイトと殴り合いの喧嘩をしないからADHDじゃない!!」とADHDではない、と確信していました。
私の親は医師なのでADHDについてよく知っていました。
でもきっとまさか自分の子どもがADHDだなんて、認めたくなかったのだと思います。
したがって、私と両親はもともとADHDを知っていましたが、『私たちには関係ない!!』と考えていたため、お互いにストレスと疲れで倒れそうになりながら毎日喧嘩していたのです。
もっと早い段階でADHDと素直に認めて受け入れ、ADHDについて学んでいたら、いままで沢山やってきた失敗も無かったでしょうし、自己卑下ばかりする日々も送っていなかったと思います。
それに毎日両親と喧嘩することもなかったはず。
もっと早くADHDであることを私に伝えてほしかったです。
毎日毎日、得体の知れない周りとの温度差や違和感、自己嫌悪に苛まれるなんてごめんです。
もっと早く教えてほしかった……。
7.最後に
私と私の家族はADHDから目を背け続けたため、喧嘩ばかりの家庭になってしまいますた。
だから、このサイトを読んでいる方は、『他人事』としてとらえずに読んでほしいです。
また、ADHDのお子さん、またはADHDかな?というお子さんに『怠け者』や『アホ!!!』と何度もいわないであげてください。(甘やかして放任すれば良いという意味ではありません。)
ただ怒るのではなく、お子さんの言い分を最後まで聞いて、どうしてそうなってしまったか、次はどうしたら良いか一緒に考えてあげてください。
お子さんだって、『怠け者』、『アホ』になりたくてなっているわけではないし、ある程度成長したら、否が応でも自分と社会の違いを見せつけられ、どうしようもなく自己嫌悪に陥る日が来るでしょうから。
お子さんが何かにつまずいて、悔しい、情けない、辛い、どうしようもない、どうしてこんなに自分は出来ない子なのだろう、と思っているタイミングで、親にそのような言葉を投げかけられたら、追い詰められるばかりです。
もちろん、親も子どもに振り回されるし、子どものせいで追い詰められると思います。
それでも、『普通なら出来るのに……』を押しつけないであげてください。
普通じゃないから困っているし、障害なんです。
ADHDだと日常の些細なことにつまずきます。
でもわざと失敗していないし、いつだって真剣です。
真剣にしているのに、『怠け者』『アホ』なんていわれたら
そりゃ、怒るし自己嫌悪に陥ります。
『怠け者』『アホ』で見逃さずに、寄り添ってあげてください。