ADHDの原因は何!?ADHDの原因として多く挙げられる、遺伝や脳の発達について解説します。
1.ADHDの原因
いきなりですが率直に言います。
現在、ADHDは何が原因なのか、はっきりとは分かっていません。
『おそらくこれがADHDの原因であろう』と考えられている要因はあるのですが、確固とした根拠がまだ見つかっていないのです。
しかし、どうやら遺伝や脳内物質、脳の発達がADHDに関わっていることが最新の研究で分かってきました。
2.遺伝的要因
ADHDは遺伝的要因によって発症する可能性が非常に高いことが多くの研究・調査により明らかになってきました。
例えば、ある研究の統計によると、ADHDの親がADHDの子供を持つ可能性は30%以上であるという結果が報告されています。
また、一卵性双生児とADHDの研究によって、双子の片方がADHDを持つ場合、もう片方もADHDを持つ確率は75%を上回ることが発見されました。
一卵性双生児は、1つの受精卵が分裂して双子になるため、成長過程のわずかな変異により100%同じにはならないものの、互いに99%同じDNAをもっています。
だから、双子の病気や障害の一致率を調査すれば、障害や疾患が遺伝子と関係があるかが分かるのです。
したがって、ほぼ間違いなくADHDは遺伝的要因と深く関係していることがわかりました。
しかし、ADHDをもたらす具体的な遺伝子についてはまだ研究途中です。
このADHDを引き起こす遺伝子について、2つのドーパミン遺伝子が関与していることが解明されたようですが、まだ詳しくは分かっていません。
3.ADHDと脳内物質
脳は様々な物質によって制御されており、それらの物質が適切に働けばよいのですが、それらの物質に何かしら問題が生じると病や障害になってしまうことがあります。
この脳内物質に注目してADHDについて研究した結果、ADHDは『ノルアドレナリン』と、その前駆体である『ドーパミン』という物質の濃度や働きが正常でないため生じる障害なのではないかと考えられています。
また、『ドーパミン』⇒『ノルアドレナリン』へと変化する過程に何らかの問題があり、ADHDを発症するのではないかとも考えられています。
前駆体というのは、ある物質が生成される前の段階にある物質のことで、『ノルアドレナリン』の前駆体である『ドーパミン』は記憶力、注意力、集中力や運動機能、高揚感などに関わると考えられています。
したがって、ADHDは何らかの原因で『ドーパミン』、『ノルアドレナリン』が不足しており、不注意や多動、集中力の欠如をもたらしていると考えられているのです。
しかし、これに関してもまだまだ研究の余地があり、『ドーパミン』と『ノルアドレナリン』がADHDの絶対的な原因とは言い切れません。
4.ADHDと脳の発達
以前までの研究では『ADHDは前頭葉が未熟であるために発症するのではないか』と考えられてきましたが、現在は『前頭葉の未発達のみがADHDに関わっているわけではないのではないか』という見解が広がってきています。
なぜなら、最先端の医療機器や解析技術により、自分の行動を制御する過程には前頭葉のみならず、様々な脳の領域が関わっていることが明らかになってきているからです。
今後より詳しい脳の仕組みを分析することで、ADHDのみならず、多くの他の病や障害の解明に繋がるのではないかと注目されています。
また、ADHDの人々とADHDではない人々の脳をスキャンして比較した研究では、ADHDの人々は脳のある特定の部分が大きく、ある特定の部分は小さいといった違いがあることが判明しています。
この特定の小さな領域に関しては、ADHDの人々は発達するのが遅いか活発に働かないため、自己制御が難しくなるのではないかと考えられているようです。
しかし、単に脳の発達が未熟だからADHDを発症したわけではなく、脳の発達におけるバランスがADHD発症を左右しているのかもしれません。
まだ未知の可能性を秘めている、脳の解析によってADHDの原因が突き止められるか、今後の進展に期待が高まります。