ADHDは努力出来ない

ADHDは努力出来ない

努力できない。

やりたくないことはそりゃ、努力出来なくて当然でしょ。

今努力出来ないなら、本当に自分が頑張れる場所を新しく見つけたら良くない?という話。

1.努力できない                     

ADHDだと努力することが難しい場合があります。

やらなくてはいけないと頭では分かっていても、そのやらなくてはいけないことに対して努力することが出来ないのです。

例えばその分かりやすい例として、テスト前に勉強ができずに非常に低い点数をとってしまうことがあります。

勉強をしないと低い点数をとってしまい、親に怒られたり、将来に関わってきたりすると分かっていてもなぜか勉強出来ないのです。

机の前に座って、鉛筆をもって、問題集を開いて……

そこまでいっても3分たてば貧乏揺すりをはじめ、机に肘をつき、最後には机から離れてしまうのです。

したがって、傍から見たらADHDの人はぐうたらとダラダラ過ごしているように見えるでしょう。

そして時には思わず、『おまえはろくに努力することも出来ない、どうしようもない子だ!』『本当に出来ない子だね!』というようなことを言ってしまう人もいるのです。

しかし、ADHDの人は努力できないのではありません。

単にその『やるべきことが』ADHDに人にとって『やるべきこと』じゃないだけなのです。

2.なぜ努力できないか

例えば、勉強を例にとりましょう。

勉強をしっかりしろ、とはよく親やら先生に耳にタコができるほど言われますよね。

これは勉強の成績が良いほど本人の『将来の選択肢』が広がり、やりたいことが出来ると考えるからではないでしょうか。つまり『良い大学』に行けて『良い就職先』に就けて、おそらくお金に困ることもなく、堅実で幸せな人生が送れる、と考えるからではないでしょうか。

ではここで、少しADHDの子ども側の立場に立ってみましょう。

小さい頃はよく言われますよね。

『将来の夢は何??』

これに心から目標とするものがあって

『〇〇になることが夢!!』

と答えられるADHDの人は果たして世の中に何%いるでしょうか。

あるいはADHD関係なく、しっかりと自分の夢がある子どもは世の中に何%いるのでしょうか。

当たり前ですが、ほとんどの子ども達は将来の夢なんて本気で描いていないことが多いです。

聞かれたからそれっぽい返事をしているだけ。

将来に向けて心から目標にしていることなんてないんです。

普通の人なら目標がなくても人に指摘されたのなら、そこそこ努力して上手くやってやり逃していくのでしょう。『親に怒られるから』、そんな理由でも上手く努力できるのでしょう。

しかしながら、ADHDの人はそんな器用なことは出来ません。もともとやる気ホルモンであるノルアドレナリンが不足しているのですから。

ADHDの原因

(↑参考:ノルアドレナリンについて記事)

基本的に自分が心から『やりたい』と思っていない限り、努力なんてできっこありません。

勉強なんて特にそうです。

数学、国語、理科………

様々な全く違った分野のもの総合的に学力として測られます。

自分の好きな数科目は成績はそりゃ良いでしょう。だって、その教科の勉強が好きだから。

もっとその教科で良い点数をとりたい、もっとその教科について知りたい、というように、その教科を勉強すること自体が『やりたいこと』だから成績は良くなって当たり前。

一方、自分の嫌いな教科は非常に成績が悪くなりがちです。だってその教科を円強することは『やりたくないこと』だから。

いくら周りに何と言われようと『やりたくないものはやりたくない』。

『将来のため』『あなたのためだ』といわれても、漠然としすぎて全く心に響きません。

目標もないのにどう頑張れというのでしょうか。                  

3.ADHDの人は省エネ設計     

ADHDの人はある意味『省エネ設計』をしていると思います。

自分が本当にしたいと思うことなら全身全霊、どんな犠牲を払っでも目標を達成しようと邁進していきます。                                                  

しかしながら、自分の興味が無いことに関しては自分の時間を費やす気なんて、労力を費やす気なんてサラサラないのです。

したがって、他人から『今やるべきこと』を提示されたとしても、それが自分にとって大して価値のあるものではなければ、ADHDの人にとっては『どうでもよいこと』なのです。

したがって、ADHDの人は他人から『あれやれこれやれ』と言われてもどこ吹く風と聞き流し、ともっと今『自分がやりたい』と思うことをやるのです。

4.努力するために必要なもの

人生やりたいことだけ常にやっていくことはできません。やりたくないことも、やっていかなくてはなりません。

ADHDの人が『やりたくないこと』を乗り越えて努力していくには、それ相応の目標が必要です。

ADHDの人が努力するにはとにかく『目標』が非常に重要になってきます。        

ADHDの人は確固とした目標があるのなら、絶対に努力できます。

もし今、ADHDの人で『自分は努力できない』と悩んでいる人がいたら、それは単にその今取り組んでいる内容が大して自分にとって大して重要なことではないからではないでしょうか。

ADHDの人にとって最大の強みは『自分の熱中出来ること』を見つけたら自分の力の120%の能力をもって努力し、物事に取り組めること。

一方、ADHDに人にとって最大の弱みは『自分にとってどうでも良いこと』には全く努力できず、取り組むことができないこと。

私たちはやりたくないことにぶつかったとき『努力しない』『まあまあ努力する』『努力する』という選択肢のどれかを選びます

そしてたいていのことについて、ADHDの人は心の底から『努力したい』と思っていないから、知らず知らずのうちに『努力しない』という選択肢を選んでしまいます。

したがって周りの人にADHDの人は『努力しようとしても努力できない人』というレッテルが貼られがち。

しかし、それは大間違い。

決してADHDの人は努力できないのではありません。

単にその『努力すべき内容』がADHDの人にとって『努力すべき内容』ではないだけ。

つまり、ADHDの人の努力に必要なのは、努力に値するだけの『目標が見つかるかどうか』なのです。

5.最後に

努力できる目標といいますが、初めは小さなことで良いと思います。

例えば小さい頃なら『学校で理科だけ良い成績をとる』『オセロだけは誰にも負けない』といったような些細なことで良いと思います。

しかし、最終的には『世界で活躍できる人になりたい』『日本一の〇〇になる』といった大きな夢へ繋がっていけば、と思います。

結局、ADHDの人に何より必要なのは、『人生をかけて努力出来る目標を見つけること』。

ADHDの人は高い潜在能力を持っています。それをやはり活かさないともったいない、と私は思うのです。

それはいつ見つかるかは分かりませんし、一生かけて見つからない人もいるかもしれません。

しかし、ADHDの人が自分らしく、自分の能力を精一杯活かして生きていくにはやはりこの『目標』、自分が努力出来る『場所(分野)』をいかに見つけていくかに懸かっているのです。

だって、本当は努力出来るのに、高い能力を持っているのに、周りに『もっと努力しろ』と叱責され、心からやりたくもないことを非効率に延々とやる人生なんて嫌じゃないですか。

ADHDの人が自分の力を存分に発揮でき、努力出来る『目標』が見つかることを願っています。

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